Perazziのトリガーアッセンブリーの現状
2013年以降のPerazziは銃身のスリーブ下部に切り込み溝が追加されています。

Perazziと言えば松葉バネ(イタリアではVタイプと呼ばれています)が売りですが、近年イタリア国内を含めヨーロッパではコイルスプリングのタイプが主流になりつつあるためにスリーブ最下部のホウテイ面と合わさる部分に加工を加える必要が出てきました。

2005年くらいからコイルスプリングのPerazziを壊れないからと言う理由で使う選手が増えてきました。
実際にオリンピックの出場権がかかった大事な試合でスペアーを用意していたとしてもバネが折れて競技中にトリガー交換をしなければならない状況になれば、少なからず動揺しスコアーに影響がでる可能性が無いとは言い切れません。

2012年の段階で、すでにイタリア国内ではVタイプよりもコイルスプリングを選択する人が大多数になっているようです。

コイルスプリングのトリガーアッセンブリーは設計上の問題からか撃発時に撃針を押し切る状態でストップします。
このためにVタイプの時は戻しのスプリングで撃針はホウテイ面から出っ張る事はありませんが、コイルスプリングのアッセンブリーでは、わずかに撃針の頭が顔を出します。
この為撃針が銃身のスリーブの最下部に引っかかる可能性があり、これを防ぐために溝を入れて出荷しているのです。

Vタイプのトリガーアッセンブリーを使用していても、後からコイルスプリングのスペアーを買っても動作に支障が出ないように、全てのPerazziにこの加工が追加されたのだと思われます。

日本国内では相変わらず松葉神話で、「松葉は落ちが速い」と勘違いしている人が多く、実際に落ちの速さを体感できる人はいないと思っております。

あくまでもシアーとハンマーのテコの原理的な問題で引き味が良いだけで松葉だから良いわけではありません。

実際にPerazziは松葉だから切れが良いと言う先入観を、ほとんどの人が持っているためミロクやベレッタ682のコイルスプリングのトリガーを引くと切れが悪いと言うのですが、Perazziのコイルスプリングのトリガーを引くと「さすがPerazziは松葉だから切れが良い」と言います。

あくまでも撃発機構の問題ですのでバネは関係ないというお話です。

私が確認した2013年以降に製造されている全てのPerazziに、この加工がされている事から、コイルスプリングで発注されているPerazziがかなりの数を占めていると言う事でしょう。

ヨーロッパやアメリカでは壊れない事が一番優先させる傾向があります。
このために、バネの交換にかかるコストも減るし、大事な場面で壊れる事がないコイルスプリングを選択するユーザーが増えてきていると言う事でしょう。

以前にコイルスプリングモデルのMX5を販売したときは、あまりにも不評で1年で廃盤になってしまいましたが、それに懲りることなく、またもやMX8の廉価版のMXSが新製品として販売開始となったのですからコイルスプリングのPerazziが市民権を得たと言う事なのでしょう。

私も今後Perazziを使うのであればコイルスプリングのPerazziを選択します。スペアートリガーが必要なくなりますし、故障は撃針折れのみになるので安心感がありますよね。
撃針は定期的にチェックして折れる前兆現象を見逃さなければ試合中に折れるのを未然に防げます。

世界のPerazziユーザーの動きはコイルスプリングに傾きつつある中日本国内はどうなっていくのでしょう。


コイルスプリング仕様のトリガーアッセンブリー
この仕様のトリガーアッセンブリー自体はかなり昔から販売されています
トリガーを着脱する時は必ずハンマーを起こしてからとなります

こちらはVタイプのトリガーアッセンブリー