アジア大陸選手権大会 クウェート  
平成19年12月5日〜12日(渡航期間11月30日〜12日)
北京オリンピック出場権を賭けた最後の大会が大陸選手権です。世界的にも日程で言うと最後の選手選考になるこの大会でオリンピックに出ることが出来るかどうか決まるためにアジア圏内の選手も、おのずと気合が入るのは言うまでもありません。
オリンピックの出場枠(QP)はトラップ種目男子3、女子1、同じくスキート種目男子3、女子1、ダブルトラップ種目男子1となっております。

通常ワールドカップ等ではQPは各種目1つのみでアジア圏内の選手だけの、この大会はかなり確率が良いことになります。
何人かの選手はすでにワールドカップや世界選手権にてQPを獲得しているので繰り上がる可能性も高いために最後の最後までオリンピック出場の可能性があるのです。

私は今回の大会からDT用にハイリブ化したDT10を実戦投入することになったのですが最初で最後の一発勝負となるためにトラップチームと一緒にクウェートに入国し現地練習にて調整することにしました。
まず日本国内では5人以上で練習できる環境が無いという点と、それ以前に練習できる射撃場が近くに無いと言う致命的な状況下で練習は強化合宿のみということになります。

クウェートに行ってしまえば現地練習組みが居るはずですので6人で常に練習できると思い早めに入国を決めたのです。
案の定、練習は常に5人以上で行うことが出来ました。しかしながら1日2ラウンドと言う制限があり実質7日間で14ラウンド+公開練習3ラウンドのみでした。

国内とはまったく違うロケーションに対し苦戦を強いられました。
世界的にも鉛を回収することが前提の射撃場の建設が基本となっていて新設の射撃場は全て正面は土手を盛ってあります。
今まではトラップよりも高付け気味に照星を合わせクレーをトレースして初矢を撃っていました。この方法だと背景は基本的に関係ないのですがハイリブでの超高付け(水平より上)ですと照星の置く位置がとても重要になってきます。
目印になるような物がない場合、照星を置く位置があいまいになり飛行線を外してしまい完全なる待ち撃ちですので初矢を外すと言う結果になります。

このロケーションは日本国内では何処にもないもので対策を講じることも出来ません。現地での練習で慣れるしかないのです。おそらくトラップやスキートにはまったく問題ない事なのでしょうがダブルトラップには大問題です。
「どの選手も条件は一緒だ!お前だけが不利ではない!」とお思いの方も居ると思いますがこれに関し慣れなのか何か対策方法があるのか経験則なのか何らかの方法で他の外国人選手たちはラウンドを重ねるごとに初矢の的中率が100%に近くなっていきます。

このハイリブ仕様は約3年前から始まって少なくとも現状でダブルトラップのハイリブ化は95%以上となっています。この仕様を2年以上続けているのですから練習量や効率の良い射撃方法も各選手確立しているのでしょう。
私は8月に概ね試作品が完成しわずか3ヶ月間で実戦投入となったわけです。

平成17年位から海外遠征に参加していれば早い段階でハイリブに切り替えて行き十分世界で戦えるところまで行けたことでしょう。
しかしながら情報は入ってきますが実際にどんな仕様に改造しているのか?また撃ち方はどんな風に撃っているのか?を自分の目で見る機会は平成18年のアジアクレーまでありませんでした。
今回に限って言えば総合的に考えてミロクでクレーをトレースして撃てば成績的には決勝に残れたかもしれません。しかしながらその後にハイリブ化を行ってもオリンピックには間に合わないと考え一発勝負的に強攻策に出たわけです。
切り替えるには今しかなかったのです。実際強化練習でも140点以上当たることもありこれに関しては一つの賭けでした。
現地練習でも14ラウンド中47点以上が3回、44点以上が4回、40点前後が4回、30点台が3回とかなりバラつきがありますがそこそこ撃てていました。

今回の失敗については色々反省点があります。
通常、日本国内で概ね勝負の形(射撃のスタイル)や射撃の方法論を決めて行き、現地での練習もしくは公開練習で修正をして後は射台に立ってトリガーを引くだけ、と言うところまで持って行くのですが今回はそこまで行き着く事が出来ませんでした。
最後まで照星を置く位置を模索し悩んでいるうちに試合日となり終わってしまった感じでした。

国内においても海外遠征においても決められた試合日にピークをあわせる自分なりの方法としてずっと行っていた、この調整方法を今回に限りまったく忘れてしまったのです。
それほど照星の置く位置が微妙で悩みの種だったのでしょう。

本来ダブルトラップ専属のコーチがラウンド中「それでいい!」とか「もっと上に構えろ!」とか自分で判断するのではなくコーチが判断してくれればかなり楽なのです。自分の主観は悩んでいる時はまったく当てにならないからです。
クウェートにしてもカタールにしても韓国にしても中国にしても細かい調整は全てコーチが行っていました。

正直見ていて羨ましいと感じました。
しかし、自分ひとりで何とかしなければならない中で色々模索している段階でしたから結論から言うと練習量が足らなかったに尽きます。
実際に試合が終わり成績的には完全に裏目に出た今回の大会でしたが「現状でやれるだけの事はやったと言う気持ち」に嘘はなく不満はありません。
 

今回宿泊したホテルです。

大会オフィシャルホテルのは横断幕がかかっています

近くには雑貨屋がありました
これはモスクです

パチ物くさいベレッタのステッカー

買出しに行ったスーパーの裏にあった地元食レストラン
味は日本人には無理っぽいです
動物園のふれあい広場状態でした

インフォメーションセンターです

インフォメーションセンターの2Fがラウンドチケットや装弾チケットを販売しています

購入した装弾チケットはここで実包と交換できます
こちらは射面のすぐ後ろにあるコーヒーショップ前のテラスです
ここに日本チームは本陣をすえました

こちらは選手控え室として用意されたテントです

中はこのような感じです

私はこちらを利用しました

中には銃砲店が銃を展示していました

このテント内には現在射撃中の射面の成績と総合順位がリアルタイムで分かるようになっています

今回に限って言えばベレッタとペラッチの比率は50:50でした
近年ベレッタは販売数を伸ばしてきています

次のページ

HOME